アイヌの人々に関する人権問題
アイヌの人々は、固有の言語や伝統的な儀式・祭事、「ユカㇻ」などの多くの口承文芸等、独自の豊かな文化を持っていますが、近世以降のいわゆる同化政策等により、今日では、その文化の十分な保存・伝承が図られているとは言い難い状況にあります。特に、アイヌ語を理解し、アイヌの伝統等を担う人々の高齢化が進み、これらを次の世代に継承していく上での重要な基盤が失われつつあります。
政府は、平成19年(2007年)9月に採択された「先住民族の権利に関する国際連合宣言」や、平成21年(2009年)7月の「アイヌ政策のあり方に関する有識者懇談会」による報告を踏まえ、総合的かつ効果的なアイヌ政策を推進しています。
また、令和元年(2019年)5月に施行された「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」では、アイヌの人々が民族としての誇りを持って生活することができ、その誇りが尊重される社会を実現することを目的として、アイヌの人々への、アイヌであることを理由とした差別の禁止に関する基本理念や、アイヌ政策を総合的かつ継続的に実施するための支援措置などが定められています。政府は、同法に基づき、従来の文化振興や福祉政策に加え、地域振興、産業振興、観光振興を含めた施策を推進しています。
私たちは、アイヌの人々に対する理解と認識を深めるとともに、アイヌの人々の民族としての誇りが尊重される社会を実現するよう努めていかなければなりません。
■分野別人権問題への取組