インターネットに関する人権問題
パソコンやスマートフォン等の普及が進んだことにより、コミュニケーションの輪が広がり利便性が高まった一方で、「匿名性を悪用して掲示板で他人を誹謗中傷する」、「本人の許可なく名前、住所、電話番号や写真をSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)や、ブログで公開する」、「誤った情報がSNSやブログで拡散される」、「行政や企業が管理する個人情報が、不注意や不正アクセスによりインターネット上に流出する」というような事例も次々に発生しています。一度公開されたり流出したりしてしまった情報は、インターネット上で次々にコピーされ、これを回収することは事実上不可能であり、これらは人権にかかわる新たな社会問題となっています。
情報の取得や発信の容易性、匿名性等から、インターネット上ではややもすれば道徳観や罪悪感が希薄になりがちです。また、誹謗中傷により、自ら命を絶つ痛ましい事件も起きています。
インターネット上の誹謗中傷が特に社会問題となっていることを契機に、こうした行為を抑止すべきとの国民の意識が高まる中、誹謗中傷の実態への対処として、令和4年(2022年)7月、侮辱罪の法定刑の引き上げ(一年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料)が行われました。
これから私たちは、高度情報化による恩恵を甘受するだけでなく、「誰もが被害者にも加害者にもなり得る」ことをしっかり認識し、これまで以上に個人のプライバシーや名誉に関する正しい理解を深め、一人ひとりが情報の取得・発信における責任やモラルをもつことを心がけていかねばなりません。
そのためには、家庭や地域、学校、職場といったあらゆる場において、インターネットの危険性や、利用上のルール、マナー、注意点等を学習、啓発する機会を設けることが大切です。
■分野別人権問題への取組